このエントリーをはてなブックマークに追加

一般的にエポキシ樹脂は添加剤を利用することで様々な用途に利用可能です。

カヤック製作においては大きく、3つの役割があります。

  • ハルやデッキのコーティング
  • 接着剤
  • 隙間などを埋めるパテ

また、エポキシを選択する場合に考慮する事項として以下のような点に注意する必要があります。

  • ポットタイム(可使用時間)
  • 使用可能温度
  • 透明度
  • 粘度

カヤック製作においては、これら3つの役割があることと、 エポキシ購入時に注意すべきことは最低限押さえておくべきです。

書籍やウェブ上のドキュメントでは、カヤック製作に適したエポキシとして West System、System Three、MASというメーカーを薦めているいる場合が 圧倒的に多いように思います。 エポキシ自体は調合によって様々な用途に使えるのですが、 これらのメーカーは古くからマリン用途のエポキシを供給していることから カヤックビルダの支持を受けているそうです。

ただ、マリングレード合板ほどシビアにマリン用エポキシが必要かというと、 そこまでマリン用エポキシの十分な優位性を示すような文献は今のところ見かけてません。

強いて言うなら、Chesapeake Light Craft社は自作キットに付属するエポキシとして、 MASエポキシを使っているとのことです。 創業者の著書、カヤック工房によると、CLC社がMASエポキシを選択する理由は、 アミンブラッシュが出ない(出にくい)というのがあるようです。 アミンブラッシュが出ると、積層前にアミンブラッシュを取り除くというひと手間が加わります。 とはいえ、決定的な性能の差が出るという情報は記載されていないと思います。

カヤック製作におけるエポキシの役割

以下の3つの役割を簡単に解説すると以下のようになります。

  • ハルやデッキのコーティング
  • 接着剤
  • 隙間などを埋めるパテ

ハルやデッキのコーティング

カヤックの耐水性と構造の強化の目的でエポキシ樹脂を使用します。 単純にエポキシ樹脂でカヤックをコーティングするだけでも耐水性は向上しますが、 もう一つの構造の強化の目的のためには、ハルやデッキの周りに、 FRPと呼ばれる複合材料を形成することで達成できます。

FRPとは、繊維強化プラスチック(せんいきょうかプラスチック、Fiber Reinforced Plastics、FRP)のことで、ガラス繊維などの繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料のことです。

具体的にはベニア板等で作られたカヤックのデッキやハル(このままではまだ柔らかい)を、ガラス繊維で被い、その上からエポキシでコーティングします。こうすることによってガラス繊維やエポキシ樹脂単体では得られない非常に強力なプラスチックになります。

接着剤

エポキシ樹脂を接着剤として利用する場合は、 エポキシ樹脂に対して、シリカパウダーと呼ばれる 粉末の添加剤を加える必要があります。

水平でない場所での接着では、エポキシ樹脂単体では粘度が足りないため、 エポキシ樹脂が流れ落ちる可能性があります。 また、カヤックなどの木製の部品同士を接着する場合は、 木製の部品自体がエポキシを吸収してしまうため、接着面に隙間が 出来る可能性があります。

シリカパウダーなどを添加して適度な粘度にすることで、 これらに対処します。

パテ

エポキシ樹脂を穴や隙間を埋めるためのパテとして使う場合には、 エポキシ樹脂に対して、ウッドフラワーと呼ばれる木の粉末の添加剤を加えるます。 こうしてエポキシ樹脂の粘度をあげる(ピーナツバター程度などと言われますが、 この辺は感覚です。)ことでパテによる成形をしやすくします。

エポキシの特性について

エポキシを選ぶ、買う、使うにあたって確認すべき事項は以下の通りです。

  • ポットタイム(可使用時間)
  • 使用可能温度
  • 透明度
  • 粘度
  • 混合比

ポットタイム

ポットタイムとは、エポキシ樹脂の主剤と硬化剤を混ぜ合わせてから、 硬化が始まるまでの時間です。

通常、エポキシ樹脂が完全に硬化するまでには半日から1日程度の時間がかかります。 しかし、添加剤の混合、塗布、成形などはこのポットタイムで行わなければなりません。 これ以降はゲル化し、使用しづらくなり、最終的に完全に硬化していきます。

エポキシを選ぶときには、主剤と同時に硬化剤を一緒に購入することになりますが、 この硬化剤にFAST、NORMAL、SLOWなどのタイプがあります。

その他、ポットタイムに関しては、以下のような点に注意する必要があります。

まず、温度によってポットタイムが変化し、高温であるほど早く固まります。 逆に低温では固まりにくくなります。 エポキシ樹脂を混ぜる容器を冷やすことによりポットタイムを稼ぐことができます。

想定した室温で使用していても、大きなカップなどで大量にエポキシを混ぜると、 表面積が小さいため、エポキシ樹脂自体の発熱により早く固まる可能性があります。

使用可能温度

ポットタイムの項目でもあったようにエポキシ樹脂は温度によって固まる早さがかわります。 冬場のように極端に温度が低い場合は、エポキシ樹脂が硬化しづらい、もしくはほとんど硬化しない 場合があります。

各、エポキシ製品の使用可能温度を確認する必要があります。 冬場などであれば、ヒーターなどで室温をあげる必要があります。

透明度

製品によって透明度が異なります。

粘度

こちらも製品によって異なります。 カヤックに関して言えば、ハルやデッキのコーティングの時には粘度の低いものが好まれます。 また、粘度の必要な場所は、シリカパウダーやウッドフラワーで粘度を調整することができます。 このため、低粘度エポキシなどと謳われているものを使用します。

混合比

主剤と硬化剤の混合比は製品によって異なります。 たまに、エポキシ樹脂は、「主剤:硬化剤=2:1」などと書かれていますが、 きちんと説明書を読みましょう。




記事一覧へ